注目されている産業医の仕事とは

近年中小企業においても残業時間が厳しく決められるようになったり、企業は従業員の有給休暇取得に向けて工夫をしたりするようになっています。
これらは働き方改革の一つであり、その働き方改革関連法と呼ばれる法律の中に産業医は位置づけられています。

産業医とは

産業医とは労働者が企業内において健康でさらに快適に作業できるよう、専門的な立場において指導や助言を行う医師を指します。
現在のところすべての企業に配置しなくてはならないわけではなく、区切りとして従業員の人数が事業場ごとに50人以上である場合に配置するようになっており、中小企業においては在籍していないことが多いです。
なお医師ではありますが、病院の医師とは違い診断や処方をすることを目的としているわけではないので、その企業内において医療行為を行うことはありません。

産業医の主な仕事

産業医の主な仕事は安全衛生委員会に出席をする、この安全衛生委員会において衛生講和を行う、職場を最低でも月に1回は巡視し、環境がしっかりと整っているかを確認する、健康診断の結果をチェックする、従業員に対して健康の相談や休職、復職に関しての面談を行う、ストレスチェックを行うなどがあります。
職場巡視は大変重要であり、企業がどういった仕事を行っているかによっても異なりますが、照度や温熱環境、整理整頓がなされているか、適度に清掃され清潔を保っているか、トイレや休憩室の衛生環境、AEDや消化器が適切な場所に配置されているかなどを見ます。
特に休憩室とトイレの衛生管理はしっかりと行う必要があり、従業員がゆっくりと休める場でなくてはなりません。
職場巡視の中で問題が見つかった場合は、安全衛生委員会で報告をし、企業と協力をしながら改善を図っていきます。
なお職場巡視は2017年の法律改定によって、所定の条件を満たせば2か月に1回でも良くなりました。
これは近年の傾向として過重労働によって健康障害やストレスなどが溜まっている従業員が増えていることがあり、職場巡視の頻度を減らし、メンタルヘルス対策と過重労働対策の強化に時間をあてるためです。
2か月に1回にするには、事業者の同意を得る、事業者から産業医に所定の情報を毎月提供するといったことが必要であり、産業医の考えだけで2か月に1回になるわけではありません。
逆に事業者だけが勝手に決定することもできず、しっかりと安全衛生委員会で調査と真偽を行い決定することが求められています。

休職面談もまたメンタルヘルス対策の一つ

休職面談もまたメンタルヘルス対策の一つであり、従業員が休職を希望している、体調不良によって遅刻や欠勤、早退が続いている場合に面談を行います。
ただし基本的に従業員本人が面談を行いたいと申し出があって行えるものであり、医師が勝手に行えるものではありません。
何らかのことが原因となり休職をするので、その理由と復職するために必要なこと、どういった条件で休職が可能なのかを冷静に説明をすることが必要となります。
休職をしたにもかかわらずゆっくりと休めない、休職をしたことによって復職しにくくなったり、条件が整わなかったりすることを避けるには、希望している人としっかりと事前に確認をしておかなくてはなりません。
具体的には理由はもちろんのこと、手続きの方法や実際の期間、休職中の給与や保険料について、傷病手当の手続き方法や会社との連絡手段、休職時における制限や禁止事項の確認、復職の条件や復職までのフローなどがあります。
診察などを受ける予定であれば、主治医とどのような話をしたのか、どういった治療を行う事になったのかといったことも産業医に報告をしなくてはなりません。

メンタルの不調が原因で休職をする場合の注意点

メンタルの不調が原因で休職をする場合は、会社との密な連絡が大切ではありますが、あまりにも頻繁に連絡を取り合ってしまうと、逆に従業員の負担となってしまう可能性があります。
どの程度の連絡でよいのかなども併せて打ち合わせをしておくとゆっくりと休むことができます。
さらに休職者の場合、復帰したいと願っていることが大変多く、その気持ちと同じくらい復職することに対して不安に感じています。
休職の期間が終わりに近づいたら、復職に向けてのアドバイスや条件などを提示し、様子を見てまだ早いのではないかと判断をしたら、従業員にしっかりと伝えさらに会社の人事担当者にも話をします。
焦らず復帰させることが重要であるので、会社と従業員との間を橋渡ししなくてはなりません。
メンタルが不調になることが多くなっていますが、原因は様々であり、多くの場合人間関係が引き金となっていることがあります。

まとめ

職場巡視の際には、環境整備の他に人間関係はどのようになっているのか、など幅広い視点で見ることが重要になります。
人間関係を見抜くのは難しいですが、職場の雰囲気が明るいかどうかによっても判断できるので、しっかりと見るようにします。
ストレスをためないで良い環境で仕事ができるよう、サポートしていくのが仕事内容となります。