暮らしの中の原子力発電

生活インフラというのは私たちの生活に欠かせない存在ですが、それらがどのようにして維持されているのかを意識して使っている人は少ないかもしれません。
例えばありとあらゆることに必須の水道は自然に存在する水を資源として、長い沈殿と濾過の工程を繰り返しながらようやく供給される物ですし、インターネット通信は無数の電子部品を構成する原料の製造から始まっていると言える物です。
しかしながらこうしたインフラも工業製品と考えることができるもので、大量生産大量消費という使いっぱなしの状況は無くしていかなければなりません。

生活の中で使用され排水となった水道水

その一例が水道で、生活の中で使用され排水となった水道水は再び長い浄化の工程を経てから自然界に還元されます。
かつては合成洗剤など自然界での分解に時間の掛かる生活用品がそのまま排水され、川の水面が泡立ってしまったことも有りましたし、現在でも自然分解されにくい合成香料や選択された衣類あるいはその仕上げ剤などの添加剤が発端の微細プラスチックが海洋に流出しているという課題があります。
通信インフラのような機械設備に関しても、埋蔵量に限界のある貴金属が多用されている部品を含む設備を更新する場合にはそうした貴金属の再利用だけでなく、分解されないプラスチックや金属部品を安全かつ効率的に処理していかなければなりません。
このよう私たちの暮らしを支えてくれるインフラはその供給に至るまでの過程があまり知られておらず、そこに潜む環境上の課題があまり見えてこないものです。

日本では二酸化炭素排出量の削減という課題がある

水や通信と同じく現代社会に必須のインフラである電気も同様で、発電のために発生させられた熱エネルギーがそのまま電力として供給されているのかというと、実際にはその半分くらいしか発電にはいかされていないのです。
とりわけ日本では石炭火力発電をはじめとする火力を用いた発電所が多く、二酸化炭素排出量の削減という課題があります。
近年では設備更新によって熱効率の良い機器が導入されることも増えてきましたが、それでも発電には提供されている電力に対して倍近いエネルギーが消費されています。
そこで利用されるようになった原子力発電は、核燃料による莫大なエネルギーを利用することで二酸化炭素の排出をせずに電力を供給する発電方法です。

地震が頻発している日本においては津波による浸水リスクがある

しかし、冷却水を確保するために沿岸部に設置される原子力発電所には、地震が頻発している日本においては津波による浸水リスクも常に付きまといますし、事故が発生した場合には一般的な火災とは異なる目に見えない放射能と放射線による問題や障害が陸地だけでなく海洋にも発生するため、夢のエネルギーとはいいがたいのです。
さらに原子力発電は石炭火力発電と異なり、燃料を再処理することで限られた核燃料を無限に使うという理論がありますが、日本ではその核燃料サイクルが確立されておらず、使用済み核燃料の保管や処分という問題がすでに発生しており、設備を廃炉にするためのコストにも大きな課題があります。
そのため、今後は二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの発生が少なく、耐用年数を過ぎた設備が安全かつ低コストに処分できる発電方法を採用することが必要です。

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考えたい各家庭における発電方法

生活に欠かせない電気には発電上のさまざまな課題があり、大規模な発電所で一括した発電を行うことには送電時のエネルギーロスや災害時に直接の被害が無い地域にも停電の影響が及ぶと言った危機管理上の問題点があります。
そうした時に考えたいのが各家庭における発電です。
最も一般的なのは屋根に太陽光パネルを設置して太陽光発電を行い、各家庭の電力をそれによってまかなう方法です。
通常の送電線からの宮殿を並行して受けられるため、天候不順による電力不足のリスクが少ないというメリットが有ります。
しかしながら、この太陽光パネルによる発電も革新的な技術とはいいがたく、日当たりの偏りよって一部分だけ劣化が進んでしまったり、黄砂などの粒子による汚れが原因で発電効率が低下することも有ります。
住宅の屋根に取り付けられている場合には住人による清掃が難しく、取り換え工事の費用を全額住人が負担するのはリスクと言えるでしょう。
また、太陽光パネルには人体に有毒な重金属が含まれており、これらを安全かつ確実に処理することを定めた法令や情報開示の義務化が未整備な状況では、太陽光発電が最善とは言い切れない点にも注意しておく必要があります。

まとめ

このように生活に欠かせない電力を作るということにはさまざまな問題点がありますが、私たちの暮らしは電気によって発展し支えられているのも事実です。
そして電力を巡る技術は常に進歩を続けているので、現在は問題点も少なくない太陽光発電も数年後にはより理想的な発電方法になっているかもしれません。
電力小売りが自由化された今は消費者自身がより安全で効率的な電力を選んで購入することもできるので、当たり前の電力についていま一度見直してみることが大切です。

最終更新日 2025年7月7日 by global